GitHubテンプレートリポジトリでSQLFluffルールを一元管理する
こんにちは!エノカワです。
SQLFluffは、SQLコードの品質を自動でチェックしてくれるLintツールで、プロジェクトにおいてSQLのスタイルやフォーマットを統一するのに役立ちます。
しかし、各プロジェクトで個別にSQLFluffルールを管理していると、ルールの一貫性が失われたり、ルール変更の際に複数のリポジトリで手動のメンテナンスが必要になるなど、手間が増えることがあります。
そこで、今回はGitHubのテンプレートリポジトリを活用して、SQLFluffルールを一元管理し、他のプロジェクトに自動で適用する方法をご紹介します。
具体的には、以下のステップで進めます:
- テンプレートリポジトリにSQLFluffルールファイルを配置
- 各リポジトリでDeploy Keyを使ってテンプレートリポジトリからルールを取得
- GitHub Actionsを使ってmainブランチにプッシュされた際に自動でSQLファイルをLintチェック
テンプレートリポジトリの作成
まず、SQLFluffルールを一元管理するためのテンプレートリポジトリを作成します。
GitHub で新しいリポジトリを作成
- GitHub上で新しいリポジトリを作成し、リポジトリ名を
sqlfluff-template
とします。 - 「Template repository」のオプションをチェックして、このリポジトリをテンプレートリポジトリに設定します。
テンプレートリポジトリからのリポジトリ作成
GitHubのテンプレートリポジトリ機能を使って新しいリポジトリを作成することで、SQLFluffのルールも自動的に継承されます。
ただし、テンプレートリポジトリを基に作成されたリポジトリは、作成後にテンプレート側で行われた変更が自動的に反映されないため、注意が必要です。
テンプレートリポジトリの更新内容を最新の状態に保つには、後述するGitHub Actionsで自動的にテンプレートリポジトリからルールファイルを取得する仕組みを取り入れる必要があります。
SQLFluff ルールファイルの追加
次に、SQLFluffのルールを定義するファイルを作成し、テンプレートリポジトリに保存します。
- リポジトリ内に
.sqlfluff
という名前のファイルを作成し、以下のようにルールを記述します。
[sqlfluff]
dialect = bigquery
max_line_length = 80
[sqlfluff:layout:type:comma]
line_position = trailing
[sqlfluff:rules:capitalisation.keywords]
capitalisation_policy = lower
- ルールファイルをコミットして、テンプレートリポジトリに保存します。
上記の設定では、BigQueryを使用し、キーワードを小文字に統一、行の長さを80文字以内に制限するなどのスタイルルールを指定しています。
Deploy Keyの設定
テンプレートリポジトリから他のリポジトリにルールを取得するために、Deploy Keyを設定します。
Deploy Keyは特定のリポジトリへのSSHアクセス権を付与する鍵で、GitHub Actions内でテンプレートリポジトリのルールを取得するために使用します。
SSHキーの生成
- ローカルマシンでSSHキーを生成します。以下のコマンドを使用して、公開鍵と秘密鍵を作成します。
$ ssh-keygen -t rsa -b 4096
- 秘密鍵は安全に保管し、公開鍵をテンプレートリポジトリに設定します。
テンプレートリポジトリにDeploy Keyを追加
- テンプレートリポジトリの「Settings」→「Deploy keys」に移動します。
- 「Add deploy key」をクリックし、先ほど生成した公開鍵を入力します。
- 「Allow write access」はチェックせずに、「Add key」をクリックします。
テンプレートリポジトリにDeploy Keyが追加されました。
リポジトリシークレットの設定
Deploy Keyを安全に使用するため、SQLFluffルールを適用したいリポジトリにシークレットとして秘密鍵を保存します。
リポジトリシークレットの追加
- SQLFluffルールを適用したいリポジトリに移動します。
- 「Settings」→「Secrets and variables」→「Actions」に移動し、「New repository secret」をクリックします。
- シークレット名を
TEMPLATE_REPO_DEPLOY_KEY
とし、秘密鍵を入力します。 - 「Add key」をクリックします。
SQLFluffルールを適用したいリポジトリにシークレットが保存されました。
シークレットを組織単位で利用する場合
もしリポジトリが組織の一部である場合は、シークレットを組織単位で設定し、複数のリポジトリで一元的に管理・参照することができます。
Organization の「Settings」→「Secrets and variables」→「Actions」に移動し、シークレット名をTEMPLATE_REPO_DEPLOY_KEY
とし、秘密鍵を入力して保存します。
GitHub Actionsの設定
GitHub Actionsを使って、SQLFluffのLintチェックを自動化します。
これにより、mainブランチにプッシュされた際に自動的にSQLコードがLintされ、ルールに違反した場合は警告が表示されます。
ワークフローファイルの作成
ルールを適用したいリポジトリに.github/workflows/sqlfluff_lint.yml
という名前のファイルを作成し、以下のように設定します。
name: SQLFluff Lint
on:
push:
branches:
- main
jobs:
lint:
runs-on: ubuntu-latest
steps:
- name: Checkout code
uses: actions/checkout@v4
- name: Set up Python
uses: actions/setup-python@v4
with:
python-version: '3.9'
- name: Install SQLFluff
run: |
python -m pip install --upgrade pip
pip install sqlfluff
- name: Set up SSH
uses: webfactory/ssh-agent@v0.9.0
with:
ssh-private-key: ${{ secrets.TEMPLATE_REPO_DEPLOY_KEY }}
- name: Clone SQLFluff Template Repository
run: |
git clone git@github.com:{ユーザー名}/sqlfluff-template.git
- name: Copy SQLFluff Config
run: |
cp sqlfluff-template/.sqlfluff .
- name: Lint SQL files
run: sqlfluff lint sql/
このワークフローでは、mainブランチにプッシュされるたびに、SQLFluffのルールがテンプレートリポジトリから取得され、SQLファイルがLintされます。
ワークフローの実行
- 以下のSQLファイルをmainブランチにプッシュしてワークフローをトリガーします。
SELECT id, name, email FROM users WHERE created_at >= '2023-01-01' AND status = 'active'
- ワークフローが正常に実行され、テンプレートリポジトリからルールファイルが正しくコピーされていることを確認します。
以下のようにSQLFluffのLintチェックが実行され、ルールに違反している箇所がリストされます。
Run sqlfluff lint sql/
== [sql/queries/example_query.sql] FAIL
L: 1 | P: 1 | CP01 | Keywords must be lower case. [capitalisation.keywords]
L: 1 | P: 1 | LT05 | Line is too long (88 > 80). [layout.long_lines]
L: 1 | P: 1 | LT09 | Select targets should be on a new line unless there is
| only one select target. [layout.select_targets]
L: 1 | P: 24 | CP01 | Keywords must be lower case. [capitalisation.keywords]
L: 1 | P: 35 | CP01 | Keywords must be lower case. [capitalisation.keywords]
L: 1 | P: 68 | CP01 | Keywords must be lower case. [capitalisation.keywords]
All Finished!
Error: Process completed with exit code 1.
まとめ
この記事では、SQLFluffのルールを一元管理するために、GitHubテンプレートリポジトリとDeploy Keyを活用し、GitHub Actionsを使用してLintチェックを自動化する方法を紹介しました。
このアプローチを使用することで、複数のプロジェクトで統一されたSQLスタイルを保ちつつ、ルールの変更を一度に反映させることができます。